骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、主に老化や閉経などが原因となって骨の中のカルシウムの量(骨量)が減少し、鬆(す)が入ったように骨がスカスカになり、もろくなる疾患です。
わずかな衝撃でも骨折をきたしやすくなり、「骨折リスク」が高くなってしまいます。
そして、骨粗鬆症による骨折から「要介護状態」になる人が少なくなく、これも大きな問題です。
骨量は、20~30歳頃の若い時期をピークに、年を重ねるとともに減少していきます。
この骨量、ひいては骨密度(単位体積あたりの骨量)が減少をきたすことによって骨粗鬆症と言われる状態になり、背骨が体の重みでつぶれたり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折をきたしたり、ちょっとした転倒で骨折するといった事態を引き起こしがちになります。なかでも足の付け根の骨(大腿骨近位部)を骨折したりすると、体を支える働きが損なわれてしまうため、要介護状態にもなりかねません。
しかし、専門的な治療や適切な生活改善を行えば、骨密度の減少を改善し、骨折リスクを大幅に減少させることが可能になります。
診断
- レントゲン検査
- 血液検査:骨代謝マーカーや血中カルシウムの測定により、骨粗しょう症の状態を知ることができます。
- 骨密度の測定
治療
骨粗鬆症の発症には、加齢や閉経以外にも食事・運動習慣などが大きく関与しています。そういう意味で骨粗鬆症は骨の生活習慣病とも言え、そのため食事・運動療法も骨粗鬆症の予防と改善には欠かせません。ただ、骨粗鬆症との診断を受けたなら(骨密度が若年平均値(20~44歳の平均骨量)の70%未満)、治療の中心は薬物となります。
積極的に摂りたい栄養素を多く含む食品
カルシウム |
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牛乳、乳製品、干しえび、しらす、ひじき、わかさぎ、いわしの丸干し、大豆製品、えんどう豆、小松菜、モロヘイヤ など |
タンパク質 |
肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品 など |
ビタミンD |
あんこうの肝、しらす干し、いわしの丸干し、すじこ、鮭、さんま、かれい、うなぎ、きくらげ、煮干し、干し椎茸 など |
ビタミンK |
納豆、抹茶、ブロッコリー、キャベツ、サニーレタス、モロヘイヤ、しゅんぎく、おかひじき、小松菜、ほうれん草、菜の花、かいわれ大根、にら など |
ロコモティブシンドロームとは
「運動器の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態になることです。
日本整形外科学会が、2007年(平成19年)に、新たに提唱しました。「ロコモ」の提唱には、「人間は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であるということを日々意識してほしい」というメッセージが込められています。
原因
原因には、大きく分けて、「運動器自体の疾患」と、「加齢による運動器機能不全」があります。
1.運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)
加齢に伴う、様々な運動器疾患。たとえば変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背、易骨折性、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症など。あるいは関節リウマチなどでは、痛み、関節可動域制限、筋力低下、麻痺、骨折、痙性などにより、バランス能力、体力、移動能力の低下をきたします。
2.加齢による運動器機能不全
加齢により、身体機能は衰えます。筋力低下、持久力低下、反応時間延長、運動速度の低下、巧緻性低下、深部感覚低下、バランス能力低下などがあげられます。
「閉じこもり」などで、運動不足になると、これらの「筋力」や「バランス能力の低下」などと、あいまり、「運動機能の低下」が起こり、容易に転倒しやすくなります。
診断
「7つのロコチェック」項目の一つでもあてはまれば可能性大
- 片脚立ちで靴下がはけない
- 家のなかでつまずいたり滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要である
- 横断歩道を青信号で渡り切れない
- 15分くらい続けて歩けない
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
- 家のやや重い仕事が困難である
※ロコチェックで1つでもあてはまるものがあった場合には、当院へご相談ください。
サルコペニアとは
個人差はありますが、40歳前後から徐々に筋肉量の減少傾向が見られ、その傾向は加齢に伴って加速化していきます。とくに高齢者においてはその速度はますます高まり、1年で5%以上の減少率となる例もあります。この現象を「サルコペニア」と呼ばれています。