腰椎変性側弯症とは
腰椎変性側弯症は中年以降に腰椎の変性・側弯変形により腰痛・下肢痛・しびれ・歩行障害等生じるものです。
病態は複雑で、側弯があるから必ずしも症状が生じるわけではなく、原因がどこにあるかを精査する必要があります。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激されることであらわれる、痛みやしびれなどの症状のことを指します。
多くの場合、腰痛に引き続いて発症し、次にお尻や太ももの後ろ、すね、足先などに痛みやしびれがあらわれるだけでなく、麻痺や痛みによる歩行障害を伴うこともあります。
原因
年齢が若い場合は、腰椎椎間板ヘルニアが多く、高齢になると、ほとんどが腰部脊柱管狭窄を原因として発症します。
腰部脊柱管狭窄、腰椎椎間板ヘルニアとも腰椎(背骨の腰の部分)に起こる異常によって坐骨神経が圧迫され、下半身に痛みやしびれを引き起こします。
症状
坐骨神経痛は中高年の方に多く見られ、お尻や太もも、すね、ふくらはぎ、足にかけて、鋭い痛みやしびれ、ふくらはぎの張り、冷感や灼熱感、締めつけ感などの症状があらわれます。こうした症状は、足の一部分だけに強く感じることもあれば、足全体に強く感じる場合もあります。
【このような症状があらわれます】
- いつもお尻に痛み、しびれがある
- 足が激しく痛み、少し歩くと歩けなくなる(間欠跛行)
- 腰(身体)を動かすと足の痛みが激しくなる
- 安静にしていても、お尻や足が激しく痛んで眠れない
仙腸関節障害とは
仙腸関節(せんちょうかんせつ)は、骨盤の骨である仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間にある関節であり、周囲の靭帯(じんたい)により強固に連結されています。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)は脊椎の根元に位置し、画像検査ではほとんど判らない程度の3~5mmのわずかな動きを有しています。
日常生活の動きに対応できるよう、ビルの免震構造のように根元から脊椎のバランスをとっていると考えています。中腰での作業や不用意な動作、あるいは繰り返しの負荷で関節に微小な不適合が生じ、痛みが発生します。
仙腸関節障害は決して稀ではありません。一般的に、出産後の腰痛に仙腸関節障害が多いといわれますが、老若男女を問わず腰痛の原因となります。
症状
片側の腰臀部痛、下肢痛が多くみられます。
仙腸関節障害で訴えられる“腰痛”の部位は、仙腸関節を中心とした痛みが一般的ですが、臀部(でんぶ・おしり)、鼠径部(そけいぶ・あしの付け根)、下肢(かし・あし)などにも痛みを生じることがあります。
ぎっくり腰のような急性腰痛の一部は、仙腸関節の捻挫が原因と考えられます。仙腸関節の捻じれが解除されないまま続くと慢性腰痛の原因にもなります。長い時間椅子に座れない、仰向けに寝れない、痛いほうを下にして寝れない、という症状が特徴的で、歩行開始時に痛みがあるが徐々に楽になる、正坐は大丈夫という患者さんが多くいらっしゃいます。
診断
仙腸関節障害の診断で特に重要なのは、患者さんの症状と触診です。痛みは表現しづらいものですが、ご自身のひとさし指で痛みの部位を示してもらうワンフィンガーテストが有用です。
日常生活を思い浮かべ、普段特に痛みを感じる部位を指でなぞって表現して頂くと診断がつきやすくなります。そして、機能障害を起こしている仙腸関節を圧迫すると捻じれが増強し、痛みが強く出ますので診断の助けになります。
また、骨盤の前の方を圧迫しても痛みが誘発されることがあります。仙腸関節はわずかな動きしかありませんので、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査では、仙腸関節障害の診断は困難です。画像検査上、腰椎の病気(腰部脊柱管狭窄症・ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう や 腰椎椎間板ヘルニア・ようついついかんばん など)が認められても、症状と一致しない場合もありますので注意して診察をしています。
治療
静、鎮痛剤(痛みどめ)、骨盤ゴムベルトといった保存的治療がまず行われます。
骨盤ゴムベルトでは前締め、後締めを試し、疼痛が軽減される方を選択しますが、経過によって変わっていくこともあります。骨盤ゴムベルトは、仙腸関節の微小な不適合の発生を抑える効果があり、仕事復帰時などの再発予防にも使えます。
これらの治療で改善しない場合には、仙腸関節ブロック(仙腸関節に局所麻酔剤を注射)を行います。ブロック注射によって痛みが軽減されることで、仙腸関節の適合が良くなり、回復に向かうと考えています。
また、AKA(関節運動学的アプローチ)博田法(はかたほう)も有効で、徒手的に仙腸関節の適合を正していく方法です。非常に稀ですが、これらの治療を行っても強い症状のために日常生活に支障をきたす場合には、仙腸関節の微小な動きを止める手術(仙腸関節固定術)が行われます。
※当院での治療はブロック注射のみとなります。